第7回「私が歩んだキャリアパス」講演会報告

 「私が歩んだキャリアパス」講演会は、回を重ね今年は7回目。 2017年10月12日(木)15時30分より首都大学東京南大沢キャンパス12号館201号教室で開催されました。 今年4月統合された新しい首都大学東京応化・分子応化同窓会が主催となり、各研究室配属修士課程の役員の皆さんと一丸となり準備を進めました。
 
 出席者は今年大幅に増加して、修士1、2年生や学部3,4年生で、学生80名余りが開始時から参集し、広い201教室も沢山の学生で席が埋まりました(写真1,2)。 特に学部3年生からの出席も10%程度あり(グラフ1)、売り手市場とは言え、学生院生達のOBからキャリアパス経験から学び取ろうとの熱気があふれていました。

講演に先立ち、大学側より学域長の高木教授(写真3)から参加している学生に向けて、OBの歩んだキャリアを勉強して欲しいとの挨拶をいただきました。これに引き続き、院生の同窓会理事田淵さんと星さんの案内で、3名のOBの講演者から講演が行われ、講演者の熱い話に参加学生は熱心に耳を傾けていました。
 
 最初に野原敦さん(写真4:首都大学東京 大学院 2015年 修士修了川上研 積水化学工業株式会社)が登壇しました。
 演題は「社会人になる前にやっておくべき100のこと」
 在学中に化学がとても面白く勉強でき、学費免除獲得も糧に興味を持って勉強・研究に打ち込んだ経験から話を始められた。入社3年目ではあるものの勤務先での複数のプロジェクトでの成果を分かりやすく、そして企業での研究開発での若手の役割も含めて紹介された。大学研究室時代から変わらずキッチリ実験し、深く考察する姿勢をズット堅持し企業研究開発の原則の「3現主義」も紹介され、その実態を語って頂いた。

 2番目は江口美陽さん(写真6: 東京都立大学 大学院 2006年博士号取得 井上研 国立研究開発法人 物質・材料研究機構)が登壇しました。
 演題は「自意識を捨て、柔軟に進化し続ける」
 幼少、少女時代から振り返って影響を受けた絵本書籍の紹介から始まり、学生時代から現在までのご自身のハピネスカーブを紹介され、自身のキャリアパスをその心情も含めての紹介となり、聴衆の学生院生も話にのめり込んでいる様子が観て取れました。アカデミアの道を進む中、幾つかの人生を決めたデシジョンポイントも紹介され、ご自身の自然科学の基礎研究に掛ける思いと留学時代に深く経験された事柄から学生院生へのメッセージを語られた。その中で、ダイバーシティー、グローバルの時代に生き抜くために、モデルケースが無い現実で自分を信じて変化を恐れない、諦めずに前に進むように、エールを送られた。

 3番目に森 幹永さん(写真8:東京都立大学 大学院 2001年 修士修了井上研 富士フィルム株式会社 医薬品・ヘルスケア研究所)が登壇しました。
 演題は「企業研究で活用できた学生のときの経験」
 講演を依頼された後に改めて自身のキャリアパスを振り返られ、学生時代に友人と輪読した物理化学の教科書で、大いに盛り上がる中、化学への出会い、恩師井上先生からの教えにも触れられ、学生院生時代のご自分を紹介された中、企業でマネージャー(課長)職位までのご自身の担当された研究開発テーマを丁寧に紹介された。企業での研究開発の実際とその時々のご自身の思いや学びを披露され、学生院生には今後の企業で携わる研究開発の実際を垣間見る貴重な講演となったと思われます。

 終了後に集めた学生からのアンケートにおいても、 「大学の研究と企業の研究開発の違いが分かった。」、 「非常に良かった、明日から何をすべきかがクリアーになった。」、 「アカデミアと企業の両方の話が聞けて良かった。」、 「研究職についてこれまで余り話を聞く機会がなかったので良かった。」、 「お話しが経験に基づいていて具体的で良かった。」、 「学生時代にどんな経験をして、その時どんな気持ちだったかを知れて良かった。」、 「企業の良い点ばかりでなく悪い部分も話に登場して参考になった。」、 「同じ学部の先輩のディープな話が大変良かった。」 などの感想がありました。 
 
 主なアンケートの結果は以下です。

 講演終了後、隣接するカフェテリア館で懇親会が17:45~20:00に開催されました。三谷同窓会会長と副会長亀山さんの乾杯の音頭に始まりOBを囲んでの賑やかな懇親会が行われました。講演会に参加した学生を始め、都合で講演会には出席できなかった学生も加わり、過去最高の80名以上の学生の参加となりました。それを見越して今年は用意した飲食物十分にあり、時間を忘れての、昨年を更に上回るこれまでにない、今までの懇親会で一番の盛会になりました。(写真10)
 
 今回の講演会開催にあたり、講演者にはもちろん、大学内のPRや会場の設定などに尽力いただいた立花教授に、大変お世話になりました。ここに心からお礼申し上げます。

(本会副会長 江崎敦雄 記 :東京都立大学工化1978年卒、1980年修士修了)